鼻出血 ・繰り返すようなら、詳しい検査を!
鼻出血の大部分は、鼻の入り口から1㎝程度奥に入った部分、鼻中隔(左右の鼻を仕切る壁)前方のキーゼルバッハという部位からの出血です。もともとこの部分は血管が表面に浮き出ているために出血し易い場所なのですが、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎による鼻粘膜の炎症が存在することや、自分で鼻をさわって傷つけることが原因で、鼻出血を生じ易くなっている場合もあります。
いったん傷ができると、わずかな刺激でも傷が開いて再出血するため、傷が治るまでの間、数日?一週間程度は鼻出血を繰り返すことが多くなり、そのことで心配して耳鼻咽喉科を受診する方が多いようです。一回一回の出血が、ティッシュ等を鼻に詰めて数分で止血するようであれば、まず問題ないと考えて良いのですが、お子さんでは、稀ではあるものの血液凝固異常を伴っていたりすることもあり、長く繰り返すようであれば耳鼻咽喉科での精密検査が望ましいでしょう。また、大人の人では高血圧や飲酒などが鼻出血を生じる原因となっていることもありますが、上顎癌や上咽頭癌等の悪性腫瘍が隠れている可能性もありますので、やはり鼻出血を繰り返すようであれば、一度耳鼻咽喉科で検査を受けられることをお勧め致します。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症) ・大人の鼻づまりといえばこの病気では?
★ ドロッとした、色のついた鼻汁が出る
★ 鼻づまりが続く・いびきをかく・口臭が気になる
★ 鼻汁がのどに回って不快感がある
★ 頭痛・頭重感がある
★ 咳や痰が続いている
★ 匂いが感じにくく、嗅覚が低下しているようだ
このような症状に心当たりがある方は、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の可能性があります。
副鼻腔炎は、鼻への細菌感染によって、副鼻腔の粘膜に炎症を生じた状態です。人間には、頬の内側にある上顎洞、両眼の間にある篩骨洞、おでこの内側にある前頭洞、そして鼻の深部にある蝶形骨洞という4つの副鼻腔があり、それぞれ鼻腔と小さな穴で交通しています。鼻の粘膜に炎症を生じ、粘膜が腫れることで交通路が狭くなるあるいは塞がれてしまうと、それぞれの副鼻腔内に膿が溜まった状態になり、慢性化し、時には鼻茸(ポリープ)を生じることにもなります。お子さんの場合には、鼻の奥にあるアデノイド(咽頭扁桃)が鼻の通気や鼻汁の流れを妨げたり、鼻かみが不十分になることで症状がより重症化・慢性化している可能性があります。また、近年、耐性菌が増加していることで、副鼻腔炎の治療に難渋する傾向も認められます。
上に列挙した症状は、いずれも副鼻腔炎が原因となっている可能性があります。すなわち、慢性炎症を生じた副鼻腔からは、継続的に膿性の鼻汁を生じ、鼻づまりや鼻汁がのどに垂れる原因となったり、頭痛や頭重感を生じることになります。さらにのどにまわった鼻汁が刺激となり咳や痰が続くこともあります。また、嗅いを感じる部分は鼻腔の天井部分にありますので、そこに至る経路の鼻腔粘膜の腫れや鼻汁によって嗅覚低下を来すこともあります。症状が急激に悪化した場合には、鼻内に悪臭を感じたり、頬部や眼の深部の痛み、歯の痛み、歯の浮いた感じ等の症状を引き起こすことがあります。また、稀にではありますが、炎症が視神経に及んで視力障害を来す可能性もありますので油断は出来ません。
副鼻腔炎の診断は、鼻の中を直接観察して、鼻の粘膜の炎症性肥厚や粘膿性の鼻漏を認めることで概ね可能ですが、詳細に検討するためには、ファイバースコープで鼻の奥の部分や副鼻腔への交通路を観察することが重要です。また、レントゲンあるいはCTで上顎洞・篩骨洞を中心とした副鼻腔に影を認めることで診断することもあります。
治療は、初期の段階では、鼻内に溜まった鼻汁を吸引除去した後に、抗生剤等を含む薬液をネブライザーで吸入する方法を続けることと、炎症や鼻汁を抑える飲み薬や鼻の粘膜の腫れを抑える点鼻薬を続けることから始めます。マクロライドという抗生剤を通常使用量の半量程度で長期(2~3か月)に続ける方法も有効とされています。また、症状が急激に悪化した時には、ペニシリン系、セフェム系の抗生剤を使用することもあります。小さいお子さんで鼻かみが不十分となる場合には、市販の「鼻吸い器具」の利用も有効でしょう。成人や学童期以降のお子さんで症状の改善が思わしくない場合には、鼻腔側壁から上顎洞内に針を刺して洗浄し、さらに薬液を注入する上顎洞穿刺洗浄療法も考えられます。最終的には手術が必要となる可能性もありますが、最近では、より侵襲の少ない内視鏡下の手術で行うことが可能となっています。
